女性か男性かと区別する自体に問題があるかもしれませんが、
従来の古典的なリーダーシップ像はおそらくほとんどが
男性をイメージしたものといって間違いないでしょう。
ここではリーダーとしてふさわしいと考える「資質」「特性」、
また「行動」などからそのように考えるのだと思われます。
しかし、そのような「資質」や「行動」とはどんなものなのでしょうか。
リーダーシップ理論の研究は長い歴史を持ちますが、
例えば、かつて「行動」を軸にアプローチを唱えたオハイオ研究では 独自のデータ因子分析により
「構造作り(intimating structure):フォロワーが目標に向かって効率的な業務を遂行できるように業務の明確化を図り、割り当て、サポートすることによるリーダーシップ」
「配慮( consideration):フォロワーの感情や価値観を尊重し、信頼関係をベースにしたリーダーシップ」
この二つの軸を示しています。
日本の研究者三隅氏によるPM理論でも類似した結果を示しています。
しかし、このようなリーダーシップスタイルが
常に、どんな現場でも妥当であるのかどうか、そこに大きな疑問が残ります。
つまり、リーダーシップスタイルが先にありき、という現状に
様々な疑問が起こるのです。
まして、予測が困難になった現在のビジネスの現場で
凝り固まったリーダーシップが歓迎されるとは思えません。
心に残るリーダー象を描いてみれば分かるかもしれません。
そのリーダーが 世界でどこにいても、いつの時代も、
どの企業でもどの場面でも同じということはありません。
実際のところ、リーダーシップ理論では、
その資質、行動について共通する認識が得られたことは全くなく、
リーダーシップの資質や行動とは
言葉遊びのように曖昧な認識のものでもありました。
リーダーシップに適切であると考えられる資質・行動とは、
それら異なる組織においても状況においても、
常に多様であると考えるのが適切なのではないでしょうか。
つまり、「女性が組織のリーダーシップに適しているかどうか」とい問題も
意味をなさない問題である、ということです。
女性にも様々な資質・行動・経験をもつ女性がいて、
一方男性もやはり様々なのです。
リーダー以外の重要な存在、
つまりフォロワーと周囲の仲間の存在、
そして職務内容も必ず関わってきます。
リーダーシップはリーダーひとりが成立させる物ではなく、
様々な人間たちの関わりが
その場・その企業の適切なリーダー関係を作り上げるのです。
リーダーが女性であるべきか、男性であるべきかかという問題よりも
「その組織で求められるリーダ−象とは何か」、
また、「最大利益を生み出すリーダーとフォロワーの関係を
どう築くか」をまず考える必要があるのでしょう。