2009年8月19日水曜日

8年前を今 再体験

社会的に薬物使用の氾濫が問題視されています。

下記のフォトは かつて私がイギリスに住んでいた2002年
日本人向けの新聞「ジャーニー」特別版に掲載された
薬物がもたらす恐怖を示したものです。
今から8年前のものです。

各種の薬物がいかに入手しやすい形態・価格であるのか、
それらが与える「お手軽さ」の印象、
でも結果的にどんなふうに人生を破滅させていくのかを
写真や細かい説明で訴えていました。

衝撃的な写真は、21歳のイギリス人の女性が
薬物に手を染め、中毒死した姿です。
警察官兄弟をもち、ミドルクラスの家庭で育ち、
誰もが将来の幸福を疑わずにいました。
きっかけは、19歳のときに
ボーイフレンドに進められたとのこと。

服装・行動・性格の変化、体重の激減・皮膚の痒みのために
常に皮膚をかきむしる様子、そして
薬物を購入するために自分の持ち物を換金していたなど、
異変を周囲は感じ取っていたそうです。

当時、この新聞をみた私は
この新聞を持っていること自体に
若干の不快感、抵抗感を持ったのが正直な気持ちでした。
「日本人として」の感覚がそうさせたのでしょう。
日本人にはまだまだ 遠い世界のもののように思えていたのです。

でも、私が生活していたのは日本ではありませんでした。
1996年の滞在中
には既に、知人がシェアメイトの○○人が
ベランダで大麻の栽培してたのを見た、などという話が
周囲から聞こえていたのですから。
だから、この新聞を今日までずっと手元に置いてきたのです。

帰国後、私が講義に立つ授業の
「薬物依存・薬物中毒」のトピックの際には、
常に受講者の皆さんにこの紙面を見ていただいています。
そうするようになってもう、5年近く。

皆、はじめは目を背けます。
今こうして世間を騒がすずっと、ずっと以前のことですから、
皆さんには少々衝撃が大きいものだったことと思います。
でも、私たちには、自分や家族や大切な人たちを守るためにも
目を背けてはならない事実があるものです。

薬物依存・中毒は、一生の苦しみになると言われます。
私たちの脳は一度覚えたこの特殊な快感を
しっかりと深く刻み付けてしまうのです。
そして、これは一生消えることはありません。

心身におこる事柄は、

機械のように 「解除」も「リセット」もできないのです。
記憶は逃避や抑圧という形で

一時的に消えたように思えても、
心はそうさせてくれない、
いつかは

自分自身と向き合わざるを得ないのです。

2002年前後の欧州を、
まるで今日本で再び再体験しているように思える今日この頃です。

            ( 上下 ) [ 1Aug,2002  ウルトラジャーニー]
      By Japan Journals LTD, London UK




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