2009年6月25日木曜日

なぜ、あの人は そのように行動したのか。

人の行動には理由があるように思えますが
それは何時でも「自分の本当の意思に依存している」かというと・・・
そうではない場合もあるものです。

特に、人の行動は集団や組織に大きく影響を受けます。
例えば・・
・ 凝集性の高い組織に所属している場合、
・ 集団構成員が「同調」に高い期待を示す場合、
・ 敵対する意見を排除する文化がある場合・などなど
自分がまるで普段の自分とは別人のような判断を下すことがある、
また、不敗の楽観視を内部に生み出すのです。

それが最近騒がれる組織的な非合法性の事件にも
言えるのではないでしょうか。

他にも、個人の過失というより
組織的な責任を問われたもので有名なものでは、
スペースシャトル、チャレンジャーの爆発事故、
東海村JOC臨海事故 などなど。

組織や社会勢力によるソロモン・アッシュの「同調」の実験(※後述)は
これらの一部を説明しています。
しかし、全てではありません。

さて、冤罪事件にも 説明しうる心理学の実験があります。
アメリカで行われた「スタンフォード大学」の囚人と看守の実験(※後述)です。

現在では 非倫理的とされるもので復元実験はないだけに、
今では心理の世界では貴重なデータとなっています。

「集団」、「組織」には、 「個人」とはかけ離れた部分の心理があります。
「個人」だけでは説明しきれない 周囲からの強い影響力があるのです。

そこで、心理学とは、「社会心理学」があったり、「犯罪心理学」があったり、
「文化心理学」があったり、そして「組織心理学」があったりするのです。

臨床心理学ばかりが 私たちの行動を説明するものではないし、
それだけでは不十分なのです。

社会をそんな多角的な目で理解しようとすることも
心理学を学ぶことの面白さなのではないでしょうか。



あまり暑いので 冷たい飲み物を置きました。お客様用です。



 今日も彼は働いています。 AMの打ち合わせ中。


                    移動中



            PMの打ち合わせ中・・・

■ スタンフォード大学 「スタンフォード地方刑務所」実験とは 

スタンフォード大学 「スタンフォード地方刑務所」とは 
監禁の心理効果を研究するための実験的な模擬刑務所です。

被験者は一般的に募集され、彼らは実験当日に
コインで「看守役」「囚人役」を無作為に決められます。
看守役には 看守としてのシンボルを与えられ、
逆に囚人役は 人としてのシンボル(名前・洋服・自由)を
取り上げられました。

2週間という実験期間でしたが、2日目にして
精神的不安定を強く示した最初の囚人が現れ、
その後、続々と被験継続不可能とされ開放される囚人がでました。

一方、法律と秩序の維持という基準だけが与えられた「看守役」の被験者は
次第に支配的な力・屈辱的な権威的行動を身につけていく様子を報告しています。

この特別な空間で何が起きたのか・・

自分自身でも自分だとわからなくさせるほどの「力」が働いたのでした。

■ アッシュの「同調」の実験

ソロモン・アッシュ(Asch,S)は 7~9人の男子学生を集めて 
「集団圧力による同調」の実験を行いました。

「3本の直線のなかで 別に示された1本の直線と同じ長さのものはどれか」
非常に簡単で、明確で、誤る確立は1%以下と言う
この質問をパターンを変えて繰り返すのです。

しかし、7~9人のうち、一人を除いてすべては「サクラ」、
彼らは明らかに誤った回答を答えていきます。

そのとき、たったひとりの被験者は 果たして「正しい答え」を
勇ましくも答えるのか、それとも「同調」するのか・・?

37%の試行で 多数者の謝った判断に同調したそうです。



2009年6月18日木曜日

社長の私、日本人の私、外国人だった私。

会社を経営していると、
いろいろなことがあります。
時には社運にもかかわるような
「決断」を迫られることもあります。

でも取り囲む環境は
「決断」を揺るがしかねない
妥協への誘惑匂が強く漂っています。

会社も社会も 複雑に絡み合った生き物のようで
紋所の如く掲げられた「常識」も
意味を持たないような、まるで
「常識の多様化(©淵上)」とでもいうのでしょうか。


さて、少し前のことですが、
この判断をあぐねたとき、
私は かつての職場の同僚に電話をしました。
そこは日本であって日本で無い、
働く人もちょっと
よく言って「欧米的」、
悪く言って「日本人離れ」したところがあります。

対象事とは無関係のたわいの無い話の中で
元同僚の彼はいつものように遠慮なく
こう返してきます。

「美恵さん、何いい人になってるの?」
「何? 弱気じゃない?」

・・・・・あぁ、そうか、
日本の常識のなかで 
弱気になっていたのかもしれない。
少しだけ、昔を思い出すことで、
かつての自分が息を吹き返してきました。

「最近こんなことがあってね、」と話し始めると、
彼はこういう流れ(↓)になるのを
わくわくと心待ちしているのがわかるのです。(笑)

淵上 「私、そろそろ 暴れるかも♡」と。
元同僚 「だって 美恵さんでしょ、やるでしょ、やっぱり」



そんなことで、少しだけ
しがらみの無かった自由な頃の私を取り戻し、
はちまきを縛りなおした私です(古い・・?)

ありがとう、元同僚くん。
(彼の中の 私の像っていったい・・?という疑問は残りますが)

ちなみに
「ひと暴れ」はしませんでしたよ、
大人ですから



2009年6月16日火曜日

性格って測れるの? ・・・講義の様子から

開講中のカウンセラー養成講座では
最近 心理検査がトピックとなり
妙に盛り上がっています。


人は いつの時代も
「自分の知らない自分」を発見してみたい習性がありますし、
思わぬ結果も、思うとおりの結果も
仲間と見つけあうと つい「笑ってしまう」ようです。 (*^_^*)

心理検査法には 主に3種類あります。
1. 質問紙法 (紙面上の質問に答えていく形式)
2. 投影法 (上記の写真―ロールシャッハ心理検査―のように 
曖昧な情報に対して 自分のひらめくイメージをこたえていくもの
3. 作業検査(クレペリン検査)

使い分けの方法は、1の質問紙法は 
意識する答えしか検査できないもので、
2の投影法は 無意識の中のイメージを
検査するものといえます。

いずれにせよ、学習においては 
こういった検査を試すなら
楽しんで「わはは、がはは」と 
笑いながらやるのが、
いいストレス解消になるものです。”^_^”

実際に、自由な発想を奨励され、
本人はストレス発散、
それらが「単純」でも「珍種」でも、
ここでは笑いのネタになるのですから。


  娘が偶然見つけたハート付きサクランボ ♪


2009年6月13日土曜日

分裂した・・?

先日、届いた書類が、
翌日には二つになりました。

・・・え?これって細胞分裂?

いえいえ、現実逃避をしていてはいけません。
ひとつずつ、仕事を仕上げていかないと、
明日には・・3つに・・!?




2009年6月11日木曜日

石の上にも三年。

こんな言葉を残した有名人はいませんが・・
2001年、イギリスの大学院で深夜(早朝)の研究室、 
研究レポートの締切に追われる私が 仲間に言った言葉です。

「ストレス研究って、何でこんなにストレスなの!!!」と。

あの頃は、研究が忙しくなると、
一旦帰宅し、娘を寝かしつけて夫にまかせて
深夜に 再び車で研究室に戻ったものです。
なぜか、そこにはいつもチョコレートバーとcrisp, 
コカコーラを常備した仲間が「お帰り!」と待っているのです。
そしてまた明朝9時にはクラスで顔を合わせます。


今も、あの頃のように 心理学やストレスの勉強を
継続しています。大変さは変わらないかもしれませんが、
変な(独りよがりな)満足感がある点は
違うのではないでしょうか。

改定
「ストレス研究は 妙な満足感をもたらしてくれる(意訳)」
石の上にも三年、と言うことでしょうか。



2009年6月10日水曜日

What is endless?



2009年7月に出版社 第一法規から出される本の執筆を
一部担当させていただきました。
今週はじめ、校正した原稿を戻して、ほっと一息。

そこへ「お荷物で~ス♪」
宅急便の方が・・。

「あ・・・・・・・」


送ったばかりの原稿は 早くもなおされ、
さぁ、2回目の校正です・・・(^_^;)

近日中にも、表紙とタイトルをご紹介できると思います。

     第一法規 http://www.daiichihoki.co.jp/dh/

さて、働く園児は お仕事にいきましたが、
新しい仕事机と椅子がほしいそうです。


机は好きなものが見つからず、
姉自作の木製の椅子をデスクにすることになりました。
(DIYではありませんが、高山で作りました)
椅子はお気に入りがありました。
案外、椅子とぴったり☆ 仕事もはかどります。

2009年6月2日火曜日

ハンバーガーの正体は

久しぶりにミスター・ドーナツに遭遇し、
中を覗くと、こんなドーナツを発見。
「ウソ! かわいい!」


ハンバーガーとポテトを模したドーナツとチュロスのようなポテト

思わず買ってしまいました。子供に。

ミスター・ドーナツと言うと・・
思い出すのは、
高2のとき、初めてのアルバイトが
ミスドだったこと。


友達と一緒に働いていたので、
毎日が楽しくて、仕事を覚えるのも楽しくて、
人間関係が楽しくて。
貯めたバイト代で初めて買ったものは・・?
―「カメラ」でした。



今は、「働く多忙な園児」を趣味で撮っています。(笑)

                       電車で次の仕事に移動


                   昼は愛妻弁当 (ウサギとくまさん入り)
           

                 今日は出張・・あぁ、忙しい。もう、ほっといて。




2009年6月1日月曜日

「猫・犬と一緒に育ったロシアの少女」 News

http://www.mosnews.com/society/2009/05/27/sanddogs/ (MOSNEWS.COM)

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2606452/4205414

小さな愛くるしい5歳の女の子が、
親と暮らしながら 
人の子として育てられる機会を得ることがなかったことが
残念でなりません。
心理学者と医療的支援を受けているそうですが、
彼女の、人としての人生の再起を強く願っています。




■ 言語の発達は、今後可能なのだろうか

言語は「本能」である

「言語は文化的人工物ではなく、したがって
時計の見方や 連邦政府の仕組みを習うようには
習得できない」
------------ Steven Pinker(「言語を生み出す本能」)

言葉の発達とは、周囲の人から教えられる「学習」の結果であると同時に、
人には、生まれもってもつ言語習得の能力があるといわれています。
言語学と認知科学に一大革命を起こしたノーム・チョムスキーは、
この生まれ持った、どの言語にも通じる文法【能力】を
「普遍文法」と呼びました。
この能力があるからこそ、
子供たちは何の知識もないまま生まれてきても、
どんな言語も、いくつの言語も
軽々と習得していくのです。

しかし、この言語習得能力にも「臨界期」があるといわれています。
この時期を逃してしまうと、言語の習得は困難になっていくというのです。

これは、私たち日本人が大人になってから英語の「R」の発音を学んでも、
上手く発音が出来ないことを考えればわかるかもしれません。
臨界期までに耳に入れなかった響きを、その後習得するには
楽なことではなくなっていくのです。
 
■ 親と共に居ながら なぜペットの振る舞いを学習したのか

子供が子供らしく育っていく過程には 
親が人としての振る舞いを教えるということが必要となります。
子供は、親の養育を受けて、親の姿を見て
振る舞いを学習していきますが、
彼女はなぜ、親と暮らしながら
親のように「人」としての振る舞いではなく、
ペットの振る舞いを学んだのでしょうか。

発達心理学では、子供が親を「大切な関係を持つ対象」であると
判断するには、あるプロセスが大切であることを説いています。
Scafferが名づけた「Rrciprocity(相互関係と訳すのでしょうか・・)」、とは、
母親が乳児の振る舞いに 大きくも小さくも反応し、
その母親の反応がまた、乳児の行動に影響を与える、
その反応を受けた乳児の振る舞いに、
また母親も影響を受け、応対する、
そのような関係のことを言います。

これが言葉を持たない乳児の人生初期の『会話法』なのです。

ここから何が生まれるのでしょうか?
「attachment (愛着)」であり、「bond(絆)」であり、
いずれも心を介した特別な関係が築かれるのです。

乳児にTVやビデオばかり見せても、
言葉がスムースに発達しないのはこのためでしょう。

ロシアのこの少女も、反応・影響を示しあったのは親ではなく、
傍にいた犬と猫だったのでは、と想像されます。

 

でも、これらの問題以上に予見できる心配とは、
彼女に、人として、また少女としての「心」が育ち始めたとき、
再び大きな試練を迎えることになるのかもしれないことでしょう。
 
様々な分野での研究の発展が、その時までには少しでも、
彼女の未来の幸福に貢献できるようになっていることを
望んでやみません。