2010年1月20日水曜日

変化を起こす力 : 期待効果


昨日今日と寒さも弱まり、
暖かな日が続いています。

朝方はまだ 夜の地面の冷え込みから
それほど温かさを感じないものの、
昨日は日中から夕方にかけて
あれ、と思える瞬間がありました。
梅の花が開花するとのこと、
楽しみです。

今日あたりから 千葉では中学入試が
本格的に始まります。
過去数年、寒さに身を縮ませながら
親子が寄り添って会場へ向かった姿や
会場入り口でのつらい親子の別れといった話に反し、
今年は暖かい分、少し緊張も和らんだならいいのですが。
・・・・実際は 寒さも感じないほど、
緊張するものなのでしょう。

「親御さんはここまで」と無情にも止められ、
不安いっぱいに子供を、
姿が見えなくなるまで見送る親の姿は
きっと、変わらずあったはず。

・・・わかります、本当に。
頑張ってきた受験生の皆さん、応援してます。
きっと、努力は実を結びます。

そのつらさ、不安感、よくわかります。

私の娘も今年、一足早く受験を終えました。
3年という長い長い間、家族で息も絶え絶え
走り抜けた日々を思うと、
未だ、なかなか抜けない疲労感と、
一方でやりぬいた達成感がまだ残っています。

母親が働いていると、
また小さな弟妹がいると、
合格は困難になる、という人もありました。

最後の天王山と言われた夏休みを終え
秋も急ぎ足で過ぎようとするころ、
この苦しく、不安ばかりの我が家の受験生活に
一本の明るい道筋を示してくださったのは、
お世話になっていた塾の数人の先生方でした。

「○○(娘)さん、きっと受かると思います」

「いつものあなた(娘)なら、今回の模試であと偏差値3は
あげられたはず。本番は大丈夫。」

「あなた(娘)は理科が苦手なんかじゃないよ。
十分できてる。本番、絶対に受かっていこう!」

そんな言葉を娘にかけてくださっていました。
実際にこれらを耳にした時、
はさんだ机から身を乗り出して
この若い先生方にHugして、Kissをしようかと思った私。

「良かったぁ、ママ、しなくて」と後で娘に言われましたが
欧州にいた頃ならきっと 止められても迷わずやりぬいたはず。

不安がなくなると、
やるべきことが明確に見えてきました。
あれやこれやと、
不安を緩和するためだけの無駄な作業がなくなり、
ただ、自分たちを信じて突き進むだけでした。

他人ごとだった娘が 明らかに変化したのもこの時期。
自分が主役であるという意識と
周囲を動かす主体性が見えてきたのです。

受験日に合わせて学力はピークに達し、
同時になんと緊張もピークに達してしまい、
前夜 39度近い知恵熱を出したものです。

非情にも私は
「大丈夫、37度、問題なし」と告げ、
3時間休ませて、就寝前の2時間は最終チェックをさせました。
えぇえぇ、鬼母となってでも、
3年間の努力を結実させてあげたかったのです。

さて、前述のこの若き教師たちが、娘に下さったのは
期待効果”pygmalion effect",

ピグマリオン効果として
「受験のバイブル」や和田秀樹氏の著書などで
聞いたことがある人も多いと思います。

我が家の場合、ちょっと違っていたのは、
効果を大きく受けたのは娘以上に
親だったことですが・・。

ピグマリオン効果とは
「期待」を受けた人が意識するか否かにかかわらず、
この期待が成就するように
自分の内外から 自然と機能していくことを言います。

つまり、期待がダイレクトに学習成績を左右する(有斐閣)ということ。

人は、自分の中から生まれる希望値以上に、
信頼する他者の期待に応えたいと思う存在なのかもしれません。

当然、受験のみならず
職務遂行のため 社会人にも十分機能する効果です。
上司として 部下のモチベーションを高めるために
効果的な方法なのですが、

そこには双方に確固とした信頼関係がほしいところです

「期待してるよ」
不信感が予想に反した形で媒介してしまうこともあるからです。

「期待してるよ」
・・これが嫌味に聞こえるかどうか・・・
・・・これが悪い意味でのプレッシャーとして
過剰なストレスと化すのかどうか、
メッセージの送り手次第です、本当に。

つまりのところ、相手の成功を導くことができるか否かは、
日ごろの自分の在り方次第、とも
言えるのかもしれません。

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