2009年2月5日木曜日

「家族が夕食に集まりたくなるレシピ」って・・・?アサーションのこと。

今日、知人からこんな話を聞きました。

「いつも帰りが遅い主人がたまに早く帰ると

『何で俺の夕食ができてないんだ!』って 怒るのよ…」と。

どこにもありそうな話ですよね。
もし、いつも夕食は外で済ますご主人の家ならなおさらです。

それで、奥さんはなんと返したでしょうか? 当然…

「だっていつもこの時間には帰らないじゃない」
「食べなくて残ってしまうなら もったいないじゃない」

などなど、次から次へと『口論へと導く王道の』言葉が出てきたのかもしれません。

ふと、ここで思ったのは、
「“アサーション”って 言いたいことが言えない人のためにだけではなく
言いたいことをどんどん言える人にも必要なコミュニケーションスキルなんだなぁ」
ということ。

■ アサーションとは


アサーション(自己主張訓練)は、
もともと行動療法とよばれる精神療法をルーツとしたもので、
上手に自分の感情を相手に伝えられないために、
結果コミュニケーションが複雑化してしまう人のための感情表現方法のことです。
なぜか上手に伝えられない、そのことで相手も嫌な気持ちになり、
自分も後味の悪さに悩んでしまうケースは多々あります。

「主張」というと一見、自己中心的な意味にとられるかもしれませんが、
この場合の主張というのは「相手の気持ちや立場を敬い、

さらには自分の素直な感情も大切にする」という意味での主張を意味しています。

難しそうで、案外訓練することで習得できるのがアサーション、
そして結果を顕著に感じられるのも特徴です。
自分の表現をちょっと変えてみる、すると
相手の表現も自然に変わってきます。

■ たとえば・・・

もしご主人が
×『何で俺の夕食ができてないんだ』
   ↓
○『たまには君の作った夕食が食べたかったよ』

と、言い方を変えたら、ほぼ間違いなく、
◎『ごめんなさい、次からは無駄になっても用意しておくわ』
と、会話が柔らかくなりそうではないでしょうか?

一方、もし奥さんが、
×『だっていつもこの時間には帰らないじゃない』
×『食べなくて残ってしまうなら もったいないじゃない』
    ↓
○『ごめんなさい、あなたが早く帰ると知っていたら
もっと手をかけて作っておいたのに…。
今度は早く帰るときは知らせてくれると嬉しいわ』

と言い方を変えたら、
◎『今度はそうするよ』
となるのかも…?
少なくとも、口論にはならないことでしょう。

さらに、心理学では“オペラント条件付け”といいますが、
人(人だけではありませんが)は、自分の行動に対するフィードバックが
プラスかマイナスかによって、その行動を強化または消去
していきます。
よくある現象ですが、たとえば、
 訪ねると相手が歓迎の態度で迎えてくれる
 呼びかけると返事が来る
 ポイントカードに 消費のたびに判が増えていく 等々…
 
 返事が無ければ、呼ぶことをやめるでしょうし、
 ポイントというメリットが無ければ、別の店にいくかもしれません。
 オペラントは私たちの行動にいつも影響を与えています。

この場合、プラスのフィードバック(この場合では

早い帰宅・帰宅時間の連絡、そして上記の○の会話例のような伝達)が消滅すると、
次第にその行動は減少していくのです。


■ オフィスでもあるある・・

オフィスでもありそうな話ですが、
たとえば、

上司に結婚予定の報告をしたら
「仲人をやる」と予想外にも言い出されたら?

「結婚式ではぜひ一曲(カラオケ)歌わせてくれ」といわれたら?

新居を建てたら、「玄関先に自分で選んだ置物を送る」といわれたら?
子どもが生まれたときに、「名付け親になりたい」といわれたら?

上手に、相手を敬いながら遠慮させていただくアサーションの応え方を
今から考えておいたらいかがでしょうか?(笑)

つまりは、家族が食卓に集まりたくなるレシピとは、
「家族・夫婦・親子の中のコミュニケーションにヒントがある
」ということです。

家庭の味とは、料理の味よりも、むしろその背景にある
「暖かい雰囲気やコミュニケーション」といえるのかもしれませんね。




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